ANA国内線【PR】
日本版スティングか?小泉はロバートレッドフォード?
今回は記事を少々拝借。
http://www.zakzak.co.jp/top/2005_07/t2005073002.html
彼等って国民の代表じゃなかったですッけ?
間違っていたのなら謝りますが・・・
# by bright-ssl | 2005-07-31 20:14 | その他
朝一版
言葉というのは道具である。
人に意思を伝えるための道具である。
言葉というのは道具である。
自分自身を納得の境地に置くための道具である。
やはり言葉というのは道具である。
自分自身を守るための道具である。

のっけから訳のわからないことを言って申し訳無い。
しかし今は本当にそのような心持なんです。

言葉という道具を持つ人はそれをもって相手を傷つけるかもしれない。
そして言葉という道具を持たない人は、拳をもって、いや、空気をもって
相手を傷つけていくのだろう。
虐めは何歳になっても、人間がいる限り、そして言葉がある限りなくならない。
それはきっと真理なのかもしれないし、僕も激しく同意する。

だからといって、人間を全滅させるわけにも
言葉をなくすわけにもいかないし、それは単なる極論に過ぎない。
これは素晴らしい心の葛藤だ。ブンガクを感じる。

中学・高校と数え切れないくらいに虐めをみてきた。
むしろ荷担したものも、いくつかあった。

ここに二つのアプローチがある。

「虐める側がMAXに悪い」・・・①
「虐められる側にも過失はあり、虐める側のみの問題ではない」・・・②

これはどちらが正しい、正しくないという問題ではない。
今日、はっきり気付いた。
これは順序だったアプローチなのだ。
①→②への解決としてのアプローチ。

弱肉強食の世の中を強調したいのだろう。
現実には②を手段にもってきてしまっている人があまりにも多い。
自称リアリストによくありがちな意見だ。
確かに、そちらの方が的を射ているようで、響きが良い。
厳しい現実に及び腰にならずに、真摯に向かっていっているような、
その上、絹の表面のような、当たり障りの無い、質感が漂っている。
しかし僕の心の奥底で何かが引っかかっていた。
全く持って建設的でない討論の間中、ずっと考えていた。

真理ではなく、あくまでアプローチなのだが少しだけ解決した。

先に断っておくが、ここでは被害者側の謝罪によって、
問題が解決し得るような単純な図式の虐めというのは、扱ってない。
大体、それは虐めでなく、喧嘩と言っていい。
世の中に理由ははっきりしながいが、虐められてしまう
(実際は、はっきりしないのではなく、させたくないだけなのだが)
そんな星の元に生まれてきた人は実際にいる。
プロポーション、性質、貧困どうしようもなく虐めの要素の温床のような人がいる。
人間というのはそういう人々に対して往々に残酷である。
そういうものの上に立って、見下ろすのが大好きな生き物なのだ。

彼は言った。
「虐められるには何かしら原因がある。
だから”虐められている”という現実に対してクヨクヨするような
そんな、弱いやつにはなりたくないですね。
辛いときだからこそ、成長するチャンスなんです。
僕なら変わろうって思います」

今、流行のピンチはチャンスというやつですか。
久々に反吐が出そうになりました。
昔の自分を見ているようで。言ってましたね。
平気でそんな事を。

辛い時に辛いといって何が悪い?
苦しい時に苦しそうな顔をして何が悪い?
怒ることさえも否定をするのか?
憤る事さえも許されないのか?
弱い事さえも罪なのか?
誰が自分に降りかかる不条理を完全に肯定できようか?
そんなに辛い時にでさえ、笑えと強制するのか?
それなら、そんな事は辞めるべきだし、何よりそんな状況では人は笑えない。
もしも本気で笑っているようならば、それは単にその人がマゾなのだ。
明日殴られるかもしれない人に、笑っていろなんて言えません。

確かに人間は成長もするし、変わる事も出来る。
だけど、それは精神的に余裕のある時に限っての話だ。
大体、虐められている人というのはネガティブになりがちである。
明日のことを考えるだけで憂鬱になり、疲労感も人一倍である。
基本的に精神的な余裕があるはずが無いのである。
もしもあるとしたら、やはり、その人はマゾなのだろう。太鼓判を押してあげよう。
この点は当たり前の話なのだが、案外、見落とす人が多いのも事実だ。
変化というのは、ほとんどが事後的なのだ。

この世から虐めをなくす事はきっと出来ないだろう。
いや「絶対に」だ。
だからといって、それを少しでも容認してしまう②のような
そんな言い回しはもう今後、絶対にしたくない。

教育によって歯止めをかける事は出来る。
エスカレートを防ぐ事は出来るのである。
無粋な事と判りつつも敢えて人権教育の基本をさらわせて頂く。
「虐めはいけない」のである。格好悪いのである。

上記の言葉が理解できないような人は、
きっと僕のように道徳の時間に高いびきで眠っていた
そんな人達なんだろう。
# by bright-ssl | 2005-07-26 05:49 | 雑記
今日の一冊23
O・ヘンリ短編集 (1)
O・ヘンリ 大久保 康雄 / 新潮社
ISBN : 4102072012
スコア選択: ※※※※


# by bright-ssl | 2005-07-21 16:28 | ライフログ
今日の一冊22
リレキショ
中村 航 / 河出書房新社
ISBN : 4309015158
スコア選択: ※※※

図書館で借りてきました!!

早速、昨日、まどろみの中完読。

ウルシバラ萌え。
# by bright-ssl | 2005-07-20 04:06 | ライフログ
今日は
ちと休稿。
# by bright-ssl | 2005-07-18 20:02 | その他
ディスティニーミッシェル
ポプラから無色透明の木漏れ日が漏れる。
徐々に海岸に向かって垂れ下がっていく坂道は故郷のモンマルトルを彷彿とさせる。
視界(死海)の両側に立ち並ぶ家々は軒並み、肩の高さまで生垣を伸ばして
一生懸命にどんぐりの背比べをしている。
アスファルトに固められた土壌は呼吸を出来ず、
苦しそうに鉄の怪物達の出す漆黒の悪臭に耐えている。
しかし空気だけは青さを保っており、憧憬にしか成り得なかった
日本についにやって来たのだと実感させてくれた。

 家出同然のミッシェルは、忍者になるために日本にやって来た。
しかし税関では手製の手裏剣、脇差と鎖帷子を取られ、
最後の秘密の花園だった「写真集 服部半蔵~魔殺六法手裏剣の傷跡~」まで
とられてしまった。
しかしミッシェルには逆転の一手があった。
友達から貸してもらったビデオ(β)に映っていた
「忍法 まんぐり返し」がそれだ。
これを習得するためには地元のモンマルトルでは危険過ぎたため、
週に一回パリに行って3年かかって習得した最終奥義だった。
そのために「公衆便所」というナイスなニックネームで
パリっ子の話題をさらったのは周知のことであろうと思う。
ミッシェルはこの危険な奥義で刀の錆となった侍を何人も知っていた。ビデオでだけど。
 
 頭の悪そうな顔つきで足の長さだけを強調するEDWINの
ジーンズ(U10)に手を掛けた時にミッシェルは気づいてしまったのである。
運の悪いことに相手の税関は女性だったのだ。
悪い頭を最大限に働かすミッシェル。ここは強行突破しかない。
ミッシェルの頭に閃いた。名案じゃないか。悪い頭はそう応える。


これもついでにUP。病気だったんです。処方箋もなかったんです。
許してください。もちろん、未完ね。
# by bright-ssl | 2005-07-17 02:14 | その他
マズイです・・・これは
行灯の光を落とす。その暗闇の月光に映し出された
ジェニファーの肌は、ある種の病気の様に白かった。
その伝染は私の視覚を、聴覚を、舌覚をも呼び覚まして、
血中濃度の急激な上昇に伴いシナプスを捉え、
海馬を刺激し僕のホスティリティーを根底から覆した。
そして星の照り返しでようやく判る紅色の唇は、これから始まるはずの
余興を丁寧に受け入れている様に思われる。

典型的なA型気質で中学時代に鬼畜米英から機銃掃射をうけた経験のある私は、
おもむろに我が操縦桿を握り締める。勿論、カタパルトに乗せて発射させるためである。
しかし先ほどからジェニファーの様子がおかしい。
明らかに当惑しているのである。目前のベイブを見つめるような、
平気で植民地政策後に原住民を縛り首にするような、
白人特有の「余裕」の表情がない…。

私自身も右手に違和感を感じ、今から主役と成るべきマイクスタンドに
ふと目を落としてみる。そこにはいつも
妻からなじられている「たんぽぽ」の姿は無く、
ただただ屹立し続ける、孤独な楡の木があったのである。
太く逞しい、その楡の木からは子孫繁栄のための樹液が
今や遅しと溢れ出している。僕はふとこのモーテルに来る前に寄った、
あのいかがわしい「ブラックジョーズ」という店で買った商品の事が頭を過ぎった。
そこで25$40¢というある意味、大枚を叩いて買った「my gas stand」という
健康薬品のことが。



これさぁ、去年のこの時期に書いてるのね、何故だか。
病気に近いんだけど、残っていたのが嬉しくて、UPしちゃいました。
ちなみに未完ね・・・
# by bright-ssl | 2005-07-16 04:04 | その他
書店員育成講座~赤唐辛子とピンクサーモン~②
非情なチャイムが、冷めた音色で五時限目の終了を告げた。
ヨシミはふとえり子の方を顧みた。えり子もちらとだがこちらを見ていた。
互いの目が合い、簡単な合図を送った。
実のところをいうと、ヨシミはあまり今日の放課後が来るのが楽しみではなかった。
まだ恋愛関係にまで発展していないとはいえ、
好きなタカシに合える事はとても嬉しくもあり、楽しみだった。
しかし自分が蒔いた種とはいえ、それ以上にこの冴えない、鼻の曲がった、目の離れた、
化け物のような女性を連れて歩くことにある種の恐れさえ、感じていたのであった。
しかも最近、妙に近くにいるのである。気付けばそこにいる。

「ちょっと、あたし準備あるから、先にT駅のコインロッカーの前で待ってて。
5時半までには行くから」

そう言うと、この、最近つとに疎ましくなった怪物を置いてヨシミは走り去った。
深緑の廊下を一目散に駆けぬけ、短めの昇降口へと急ぐ。
そして昇降口の重みのある金属製の扉を開けると、すぐに裏門が口を開けて待っていた。
裏門まで来て、やっとヨシミは息をつくことが出来たのだ。
それ位に、今のえり子の存在はヨシミにプレッシャーを与えていたのであった。

裏門からこそりと出て、ゆっくりと曲がる歩道を無意識に歩きながら、ヨシミは考えていた。
少しずつ高鳴っていく鼓動を周りの人間に悟られない様に、ひっそりと歩いた。
実のことをいうと、ヨシミも処女であった。
要は優越感の問題であったのだ。
あの天然処女のような女が向けてくる、侮蔑の眼差しはヨシミにとって、
あまり気の良いものではなかった。
元来、束縛されるのを嫌い、幾つかの男と流す浮名に周りがちやほやしてくるので、
何とか保ってきた優越感。
そしてそれと共に広まるなし崩しの噂は、ヨシミにとって勲章でしかなかった。
周囲の友人から誉めそやされる度に、着る服などが少しずつ洗練されていき、
今では周りの読んでいる『spring』や『』のような雑誌は
とうの昔に捨ててしまい『an an』にたどり着いたと言うことだ。
しかし周囲の一目置いている視線とは別に全く侮蔑の篭った視線で
こちらを眺めてくる女がいた。それがえり子であった。

ケイコもマサヨもコンパには誘わなかった。
それは兼ねてより考えていた、えり子を誘うという一点に重きをおいたためであった。
しかしヨシミがえり子に言った言葉にはほとんど嘘偽りと
考えられるような事ははなかった。
実際にケイコにもマサヨにも彼氏がおり、二人とも誘っても来ないで
あろう事は、明白の事実であった。
他にも来そうな人がいないでもなかったが、
ヨシミにはえり子を誘うことしか考えられなかったのであった。
昨日より着替えの服を入れているコインロッカーの鍵をじっとりと握り締め、
これから得られるであろう、最大級の幸福に酔いしれていた。

ヨシミの言っていた準備と言うのは、心の準備のことであった。
普段ならばやる必要の無いことである。
しかし、今まで、ここまで追い詰められた状況に陥ったのは始めてであった。
テスト前でも慌てず、騒がず、ゆっくりとが信条のヨシミの心を
激しく揺さぶっているのは他でもない、えり子だった。

ヨシミは一度、心を落ちつかせるために家に帰る必要があった。
いつものように振舞えば、きっと間違った行いはしないはずなのである。
最低でもえり子に底を見破られるような、そんなへまはしないはずなのである。
他の家よりも一つ高台にヨシミの家はあった。

緩やかなスロープを登りきって、二本杉の間隙を縫う様に歩いていく。
そしてその先に見える、水色の屋根の一軒家がヨシミの家であった。
外観からだけでも、ある程度の収入があることは想像できる。
それくらいの佇まいと雰囲気をかもし出していた。
父親は海外に赴任中で、半年に一回帰ってくれば良い方である。
そして母親は普段は近所の叔母様連中とつるんで、
カルチャーセンターに通っていていないのだが、どうも今日は休みらしく家にいた。

「おかえりなさい。早かったのね。今日、塾は行かなくて良いの?」

笑顔を顔に湛えたまま、母親は言った。
それはヨシミにしてみれば無性にかんにさわったのであった。

母親がこの時間に家に居るというのも、ヨシミにとって意外なことではあった。
そしてその例外はヨシミをひどく狼狽させた。

「塾、塾って、はぁ?もう少し言う事無いの?」

ヨシミは半分はあきれて、半分は怒り任せに言い放った。
ヨシミは塾に行き始めて、3ヶ月で行かなくなってしまった。
遊びの方が忙しくなってしまったからである。
夜、塾を言い訳に何度か男を連れて遊んだこともある。
もしかして母親はその事を知って、そして言っているのではないか?
そういうネガティブな考えさえ浮かんできたのである。

「別にそういう意味でいったんじゃないわよ、ただね…」

母親がそう言うよりも早く、ヨシミは踵を返して部屋に閉じこもってしまった。
鼻から自分の計略が上手く行かなかった事に腹をたて、
母親に当たるわけにもいかず、持っていきようのない怒りは部屋の中でしか、
発散できないものになっていたのだ。
先ほどまでの幸福な気分は失われ、目の前にあるえり子と
コンパに行くという現状も疎ましくなってきてしまっていた。
むんむんとした外気が部屋に入りこみ、一層、気分を落ち着かせない
ものにさせる。すると部屋をノックする音が聞こえた。

「ちょっと…」

かんに障るような声を出していた。
大体、こう言うときというのはろくなことがあった試しがないのだ。
そういう事を経験上学んできていたヨシミは学校用の鞄を持ち、
母親がドアを開けるタイミングを見計らい、
母親の袖元から抜け出していった。
母親は慌てふためき、止めようとするが、体が追いついていない。
ヨシミは素早く一階の玄関先まで降りていき、
靴をはくと、時計を見て驚いた。
時間は自分が予定していたよりも30分以上も過ぎていた。
どれくらい長い時間考え事をしていたのだろう。
まだえり子は待っていてくれているだろうか、
そう考えながら、駅まで早足を飛ばした。
# by bright-ssl | 2005-07-16 03:14 | お題シリーズ
書店員育成講座~赤唐辛子とピンクサーモン~①
春空のような射光がじんわりと肩に汗を走らせる。ワックスで綺麗に磨かれた
床への照り返しが、えり子の眼鏡を光らせる。

「夏のくせに生意気な・・・」

そう言うと、えり子は表皮から滴り落ちる純度90%の水を拭い取り、
目の前にある『an an』に再び目を落とした。
室内の温度は既に38℃を越えていた。しがない地方の一公立高校に
冷房などという、高価なものは望めるべくもない事は周知の事実であった。
しかし、えてしてそれは同時に堅忍不抜の精神と
寄るべのないマゾヒズムをも醸成するのであった。
この地獄に耐える事の出来ない生徒は落後者となり、
この無機質だが、どこか懐かしい第2の故郷とも呼べる場所から
駆逐・淘汰されていくのである。
故に昼休みの教室にはいつも涼しげな静寂が漂っていた。

えり子は幼い頃より本が好きであった。
しかし生まれてこの方、雑誌というものには頓着がなく、
今回の『an an』にしても読んでいるというよりも、
むしろ格闘をしている、という方が聞こえとしては正しかった。
実際にえり子が一週間前まで読んでいたのは
アンブローズ・ビアス著による『悪魔の辞典』であった。

高校生としてはどちらかというとリアリストに属しているえり子にとって
雑誌などどいう頭にある妄想を意識してつくられる薄っぺらい代物よりも、
ぶ厚い毛皮のようなシニックに固められた辞典の方が、実利にかない、
実生活をさらに豊かなものに変えてくれる、
つまりは崇高な精神の温床であると考えていたのである。

えり子のこの曲がった釘の様に、打ち所の無い考えは元来間違ったものではない。
いや、むしろそれが人間としては正解なのかもしれない。

顔は目と鼻の位置が一般人のそれとは明らかに異なっており、幅も広い。
男性的な顔立ちで、仲間内からは平安美人と言われていたが、
きっと平安の美人もその様な顔は見たことが無いであろう。
その癖、着る服は姉か母のお下がりであり女性的なものだったからまた救えない。
そしてえり子自身はそういう事をいちいち自認していたのであった。
しかし、またそれを周りの人間の様に口外するような軽薄さを持ち合わせてもいなかった。

多感な思春期をそのような、そんな骨の組成の問題で棒に振っていた、
女の心情とは幾ばくのものであっただろうか。
えり子の意識が自然に本の中に落ちていったのも、納得がいくというものである。
だからえり子は本の中で文字と対峙している時だけが、
自分が自分たり得たのであり、実際に他人から見てもその通りであった。

「ねぇ、えり子。来週の金曜日って空いてる?」

ふと、先週に友人の中で一番のズベ公であるヨシミがえり子に
声をかけてきた時の事を思い出した。万華鏡の様に隣にいる男が
一週間ごとに変わる様は見ていて飽きはしないのだが、
エテ公の発情期を見ているようで、あまりに動物的で、
えり子は好きにはなれなかった。
しかし並々ならないヨシミの気迫に押されて、その時は
一瞬たじろいでしまった。つまりは無意識裡に弱さを露呈してしまっていたのである。

「う、うん。大丈夫だけど、どうしたの?」

「あのさぁ、えり子って今、彼氏いないよね?」

遠まわしながらも、しかしそれが、さもこの世の真理であるかのよう
にヨシミは話を切り出してきた。えり子は少しいぶかしく思いながらも、
何とはなしにヨシミに漂っている雰囲気を汲み、正直に答えることにした。

「別にいないけど。どうして?」

別にいないけど、これはえり子にとって最大限の誇張であった。
生まれてこの方、えり子にとっては男という存在は到底、縁の無いものの
様に思えてしまっていた。しかし今までの生活を考えると無理の無いことである。
誰がこの鼻の曲がった、目の離れている、男性的な顔立ちの少女を救い出せようか?
えり子は自分が必要以上に卑屈になっているのを感じた。

「金曜日にT高校の男友達と遊ぶの約束をしたのね。いわゆるコンパってやつですか?
それでね女の子が一人足りなくて、ほら、ケイコもマサヨも彼氏いるでしょ?
しかもあの子達は妙に貞操観念が堅くてさぁ。だからえり子に頼んでるのね」

その瞬間、えり子の目前には不思議と後光の差しているヨシミの姿があった。
少しだけ眩暈がしそうになり、そして自分が持つ、この意外な感情に目を向けてみた。
目もくらむような素晴らしい理論である。理論と真理の前にはいつも膝を折り、
屈服してきたえり子である。えり子に来て欲しいから、という杓子定規なお願いを
されるよりも、どれ位、気の利いた文句であったであろう。

「うぅん、暇といえば暇なんだけど、もしかして私とヨシミの二人だけ?」

えり子はそう自嘲する様に聞き返すと、軽く肩を落とした。
いや、むしろ、肩で呼吸をした。

「そう、だね。えり子は行った事無いよね?コンパ。大丈夫だよ、大丈夫。
ただ愉しむだけのものだって。T高校なんて進学校は気の弱いやつばかっり
集まってるんだから。今度来るやつは、美術部の部長やってるやつでさぁ。
結構、カッコイイのよ。まぁ、あたし基準なんだけどね。でも如何せん気が弱くて・・・
何であんなやつが部長やっているのか不思議なくらい」

えり子は不覚にもヨシミの話っぷりに舌を巻いてしまった。
あまりにも真理的過ぎるのだ。そこにえり子は存在はしていても、いなかったのである。
えり子の存在自体を無視して進められる話。
えり子のような存在にとって、こういう話は、単純にお鉢が回ってくるのではなく、
仕方なく、それも最後の最後で回されてくるのだ。
その当たり前のような真実に向かって、表面上は何も抵抗らしい
抵抗を見せていなかったえり子にとって、ヨシミは自分の孤独とは
かけ離れた存在であり、自分が目指すべきものであることを一瞬の内にして悟ったのだある。

今までにも、こういう類の誘いは来た事が無いわけではなかった。

しかしそれは、
「ものすごくかっこいいんだよ。来ないと後悔するって」や
「そろそろクリスマスも近いしね。彼氏の一人や二人いないと、寂しいんじゃないの?」等、
どれもえり子を満足させ得るような理論や真理をもっていなかった。

今回つまるところは

私の狙っている人がいる→じゃあ、遊びましょう→人が足りない→私が困る→えり子登場

このフローがヨシミの中で出来あがっており、しかもそれを隠すことなく言ったのである。

今まではどちらかというと観念の世界に縛られていて、蔑む事さえ辞さないような、
そんな理由ばかりであった。もしかしたらヨシミは純粋に人間的なのかもしれない。
崇高な魂を持った人間に最も近いのかもしれない。
そういう思いを持ったことさえ、えり子としては意外なことであった。
あれほど蔑んでやまなかった、ヨシミに対して、今、自分は尊敬の念に
近い感情を持ちつつあるのだ。
そう思うことは、唯一、えり子を孤独の世界から開放する手段でもあったのだ。

「そうだね。うん、判った。行くよ。それで、日にちは?……」

この一連のやりとり以来、えり子のヨシミを見る目は180度変わってしまった。
ヨシミのやっている行動全てが気になり、把握していなければ不安で仕方が無い。
更には自分もヨシミになりたい、とさえ思うようになってきていた。
ヨシミにべったりになり、そして今はヨシミの読んでいた『an an』を借りて、
読んでいる最中なのであった。
どのページにも自分とはかけ離れた、そんな女性が映っており、
それを見て何が楽しいのかさえも、えり子には理解は出来なかった。
しかし、その理解できない、という部分にヨシミの強烈な魅力が隠されているのかと思うと、
ページを捲る手も、自然と早くなってきた。

“早く、もっと早く、ヨシミにならなければ。遅くとも今日の放課後までには、コンパまでには…”

えり子の手は汗ばんで、ページの端を汚し続けた。しかし無駄だと判ってはいても、
この努力だけはどうしても止めることが出来なかったのであった。
# by bright-ssl | 2005-07-15 02:34 | お題シリーズ
今日の一冊21
好き好き大好き超愛してる。
舞城 王太郎 / 講談社
ISBN : 4062125684
スコア選択: ★★★

・・・買っちゃってたの思い出した。

何で買ったんだろう?
# by bright-ssl | 2005-07-14 21:44 | ライフログ


< 前のページ 次のページ >